XJR1300で試すチェーンカッター講座

先日XJR1300のチェーンを交換をしたんですが、その時使用したチェーンカッターをDID製の「かし丸君」にしたのは、同社製の工具が一番価格と性能のバランスが良い、と判断したからです。
対応チェーンは520、525、530、532ですが、オプションの#40ホルダーセットを使えば420等の細いチェーンにも対応しています。
オプション、とは言っても本体のネジ部以外は総取り換えなので結構高額ですケドね (;´・ω・)
中華製カッターはすぐ壊れるとか色々聞くし、RK製とかはもっと高機能そうですがスッゲー高価なのですよ。
更に「かし丸君」というフザけたネーミングセンスも砂井さんにブッ刺さるポイントでした。

チェーンカッターはロードバイク等のスポーツ自転車でも使用していた経験があるんですが、やはりバイク用は大分使用方法が違いますね。
特に大トルクを発生する大型バイクでは、事故を未然に防止する為にも信頼性の良い工具を使いたい。
でも説明書を見てもイマイチぱっとしないので備忘録として解説記事にしてみます。
かし丸君の構成

まずは本体です。
ネジ部の先はアタッチメント式になっていて、ピン形状の反対側は対象をカシメる構造になっています。
用途の都度、裏返してセットします。

コレが裏返したカシメ部。
チェーンのピンをカシメるだけでなく、正常なカシメ状態を判断するインジケーターの役目もします。
コレがまた地味に便利なのですよ。

最初分かりにくいのはコの字になっているUホルダーですか?
Uホルダーは本体にスライドさせて取り付けるんですが、固定場所は「A」と「B」の2ヵ所あり、それぞれに固定為のする穴が開いてます。

Uホルダーには中央に穴が開いていて、左右2ヵ所には溝が掘られています。
先ほどのAとBの位置で穴の位置を入れ替える働きがあります。
ホルダーの真ん中に開けられた穴と左右の溝は、作業時にチェーンを正確な位置に固定する働きがあります。

説明書には「〇〇する場合はUホルダーを”A”にセット」、とか書いてあるのが最初ちょっと何言ってるか分かりにくいですが↓

”A”の位置だとピンの延長上に穴がくるのでピンが抜け出てきます。
チェーンの切断と、プレートの圧入に時はこの”A”位置にします。

Uホルダーを”B”にスライドさせると穴が塞がった位置になります。
チェーンをカシメる時だけ”B”位置にします。
写真では分かりやすくピンを突き出していますが、実際は反対側のカシメ部を使用します。

最後にプレートホルダーです。
丸い溝が入った方をネジ部の先端に当てて使用します。

実際使用する時はこんな感じ。
この状態でチェーンの外側リンクプレートを圧入します。
可能ならやっておきたい準備作業

交換は古いチェーンをカットする事から開始するワケですが、工具の負荷を減らし、作業を効率的に行う為にもグラインダーがあると便利です。
砂井さんも欲しいんですが中々買えませんね、グラインダー (;´・ω・)
なので知人から借りてきました。
今まで有線タイプばかり使っていましたが、バッテリー式は使い勝手が良いですよ。
でもちょっとパワーが弱い?

切断するチェーンのピンの頭を1ヵ所削り取ります。
こうしておくとピンを抜く作業がスムーズに行えますよ。
当然やらなくても問題無いのでグラインダーを持っていない人はスルーしてOK
写真では2ヵ所削ってありますが、今回訳あって2リンク短くする為なので気にしない。
作業開始

早速カットしていきます。
まずUホルダーに開いた穴にカットするピンの後ろ側が入る位置にしてチェーンに当てがいます。
Uホルダーの穴にピンの頭が入るので、正しい位置に押し当てている間はズレる事はありません。

Uホルダーがズレないように押さえながら、本体をスライドさせて”A”の位置で固定します。
そのままネジ部を手締めしてカッターピンを押し当てたら準備完了。

拡大した図。
カッターピンがチェーンのピンに対して少しズレてるように見えますが、ちょっとくらいならズレても締め込んでいけばピンを押してくれます。
チェーンの切断

いよいよピンをカットします。
かし丸君本体は27mmで固定し、ネジ部を19mmで回していきますよ。
最初はソケットレンチで回そうとしましたが、高トルクが必要&ホルダー部を固定しにくいので、力点と作用点の高低差が少ないメガネレンチ等の方が使いやすいです。
今回は27mmのメガネなんて持ってないのでモンキーレンチで代用し、ネジ部は19mmコンビネーションレンチでゴリゴリ回していきます。
今回はサイズが無くて本体はモンキーレンチで固定していますが、カシメ時は高トルクなので可能なら両方メガネレンチの使用を推奨します。
27mmのメガネは高いケドね (;´・ω・)

手応えを感じたら状態をこまめにチェック。
正常にチェーンのコネクティングピンが押され、抜け出でていますね。

調子よくクルクル回していくと、コネクティングピンがUホルダーの反対側からコンニチワしてきます。
このピンがポロっと落ちるまでエンヤコラ回します。

はい、ピンが抜け落ちました。
もうチェーンは切断されていますが、カッターピンが入ったままなので分離していません。
ネジ部を緩めてカッターピンが抜けると分離します。

今回は2リンク短くするので、もう一段分だけ切断しました。
本来なら不要な作業なので悪しからず。

コレですね。
ドライブスプロケットを1T大きくしていたので長いチェーンを使用していたんですが、純正サイズに戻す事にしたのでその分チェーンもカットする必要があったのですよ。
新しいチェーンの結合

今回はリンクを短くする為のカットだったので新しいチェーンではありませんが、工程は同じなので気にしない。
ドリブンスプロケットを利用してジョイントする部分を合わせます。

ジョイントリンクのピンとO-RINGに付属のグリスをタップリ塗布。
DIDでは「X-RING」と呼称していますがココは一般名詞を使用しています。
写真の状態ではまだグリスが少ないのでもっとベッチョリーナにしますよ。

グリスを塗り込んだらチェーンの裏側からジョイントリンクを差し込みます。

あ、ピンぼけ (;´・ω・)
表側に出てきたピンにもグリスまみれのO-RINGを取り付けます。

外側のリンクプレートを当てがいます。
プレートは人力ではハマりませんので、落とさないように押さえながらチェーンを回してドリブンスプロケット部から外します。
ひょっとしてコレがDID製かし丸君の唯一の欠点?
かし丸君はUホルダーと本体でチェーンを完全に囲むので、写真のようにスプロケットに噛んだ位置では作業出来ません。
ネジ部とホルダー部が開いた構造なら可能ですが、多分TOOLの強度重視なんだと思われ。
外リンクプレートの圧入

リンクプレートの圧入もUホルダーは”A”位置です。
この場合は貫通した穴部分は無関係なので、左右に開いた溝部分をジョイントリンク裏に出ているピン部分を合わせます。

リンクプレートを圧入するプレートホルダーの出番です。
プレートホルダーは並行になった部分がプレート側に当たるようにします。

リンクプレートの中央を押します。
この位置ですね。

カッターピン部を逆向きにセットし、カシメ部を表側にします。

Uホルダーをジョイントリンクの裏に当てがいます。
ピンの位置が合っていれば「カチッ」と入り込んでズレなくなります。
このままUホルダーを抑えておきます。

かし丸君本体を横からスライドさせて”A”位置にセット。

横からプレートホルダーを差し込みますが、リンクプレートが外れないように注意。
当然Uホルダーも抑えたままです。

位置が決まったらネジ部を手締めしてリンクプレートを圧します。
プレートホルダー裏の丸溝にカシメ部の頭が正常にハマっているか確認します。
コレで固定されたので手を放しても大丈夫です。

かし丸君にズレが無い事を確認したら19mmでネジ部を締め込みます。
ココは手応えが分かりやすい ( ´∀` )
比較的軽めの感触でスルスル締めていくと、ある個所で「ガチッ」っと硬いモノに当たって、それ以上は回らないでしょ?ってな感触になります。

リンクプレートが圧入され、コネクティングピンの頭がしっかり出ている状態です。
コネクティングピンのカシメ

いよいよチェーン交換時のヤマ場?
コネクティングピンのカシメ作業です。

Uホルダーを写真の位置にセット。
対象のピンの裏側がUホルダーの溝にハマると、しっかり固定されてズレなくなります。
確認ですが、カシメる対象のピンを当てるのは「穴」ではなく矢印の「溝」です。

かし丸君本体は”B”位置にセット。
カシメるピンの延長上になります。

かし丸君がズレないようにUホルダーをしっかり押さえなが、ネジ部を回して対象のピンにカシメ部を押し当てます。

しっかり噛み合いました。
もう手を放しても大丈夫です。

んでカシメるワケですが、コイツがもう最高に分かりにくい (;´・ω・)
最初から最後まで結構硬い手応えで、しかもカシメ終わったのが分からないんですよ。
でも安心してください!

カシメ部とリンクプレートの間に隙間が無くなったら終了です。

まだカシメていないピンと比較すると分かりやすいですね。
カシメられた方はピンの頭が潰れされて同心円方向に広がっています。
この時、潰した跡がピンの中央にあるのが正常。
上下左右にズレていないか確認します。
前回ニャンコ大先生にやらせたら盛大にズレてました (;´・ω・)

もう片方のピンも同じように作業します。
確認

かし丸君のピンカッター・カシメ部は正常にカシメられたか判断する「インジケーター」としても機能します。
カシメ部を手で押し当てます。
正常にカシメられていると隙間は出来ません。

カシメられたピン部分にズレも無く、我ながら完璧な作業ですね。
チェーンテンション調整

最後にチェーンテンションを調整して全ての作業が完了しました。
調整方法は↓の記事を参考にしてください。
全ての作業が終わりました

このかし丸君、価格は安くはありませんが、非常によく考えられた製品です。
オプションの#40セットを買えば420とか、もっと細いチェーンにも対応するので原付バイクでも使用可能。
チェーン交換自体は頻繁な作業ではありませんが、スプロケットの歯数変更とかする場合でも使えるし、持っていて損はしない工具ですね。
コメントする